この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
奥さまを病気で亡くされた方からのご相談です。奥さまがお亡くなりになった後、奥さまが自分名義の金融資産を多く保有していたことが判明しました。お二人にはお子さんがいませんでしたので、相続人はご依頼者ご自身(4分の3)と奥さまの姉妹(4分の1)になります。奥さまの姉妹の一部の方のご協力がいただけない上、自分が働いて得た給与などを全部奥さまが管理していたことによって蓄えられていた財産が、奥さま名義だったからといって4分の1も奥さまの姉妹に持って行かれるのは納得できないというお気持ちで、ご相談を受けた私も同意見でした。
解決への流れ
まず家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てました。ただそれだけでは法定相続分を得るだけで終わってしまいます。そこで、先例は見当たりませんでしたが、寄与分を定める申立てをし、認められる可能性のある理論構成を組み立て、立証の準備をしました。1年以上調停を続けた結果、一部寄与分を認めさせ、法定相続分より百数十万円分多く遺産を取得することができました。
奥さまのご病気の治療のために献身的な看護を続けてこられたご依頼者のお気持ちをいかに反映した解決をはかることができるかを考えることが弁護士の胆であるということが出発点となります。経験的に療養看護を理由とする寄与分を大きく認めさせることはハードルが高いことがわかっていましたので、むしろ「財産の給付」による寄与分も併せ主張し、参考になる先例を探し当てたことが上記の結論を得ることができた原因と思っています。