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<五輪エンブレム>佐野氏や家族への「誹謗中傷」が取り下げの一因――組織委が明かす
2015年09月01日 22時19分

2020年東京オリンピックのエンブレム問題をめぐり、大会組織委員会は9月1日、東京都内で記者会見を開き、アートディレクターの佐野研二郎氏が手がけた公式エンブレムの使用を中止すると発表した。

この日の会見には、100人以上の記者やカメラマンが詰めかけたが、渦中の佐野氏本人は出席しなかった。記者から「なぜ佐野氏はいないのか?」という質問があがったが、武藤敏郎・組織委事務総長は「私たちは、(佐野氏が)いなければいけないと判断しなかった。今後(会見を開くなど)どう対応するかも、佐野氏の判断だ」と淡々と答えた。

2020年東京オリンピックのエンブレム問題をめぐり、大会組織委員会は9月1日、東京都内で記者会見を開き、アートディレクターの佐野研二郎氏が手がけた公式エンブレムの使用を中止すると発表した。

この日の会見には、100人以上の記者やカメラマンが詰めかけたが、渦中の佐野氏本人は出席しなかった。記者から「なぜ佐野氏はいないのか?」という質問があがったが、武藤敏郎・組織委事務総長は「私たちは、(佐野氏が)いなければいけないと判断しなかった。今後(会見を開くなど)どう対応するかも、佐野氏の判断だ」と淡々と答えた。

●「佐野さんは普段通りだったが、その思いは印象的だった」

武藤氏は会見で「取り下げ」の経緯を説明した。佐野氏のデザインについて盗作疑惑が浮上したことを受け、8月28日に佐野氏の原案が公表された。ところが、その原案が2013年11月のヤン・チヒョルト展のポスターに似ているという指摘が、ネットであいついだ。また、佐野氏の応募資料の中で、デザインの使用例として用られた画像が、ネット上のサイトから無断で転用されたものではないかという指摘もあった。

このような新たな疑惑が持ち上がったことで、武藤氏は9月1日午前、佐野氏を呼び寄せて、デザインを選んだ審査委員代表の永井一正氏とともに話し合いをした。その際、佐野氏から「取り下げ」の申し出があったという。

佐野氏は「応募作品は盗用ではない」と改めて強調しながらも、(1)昼夜を問わず本人・家族への誹謗中傷が続いていること、(2)国民から受け入れられず、オリンピックのイメージに悪影響を与えていることから、「エンブレムの原作者として取り下げたい」と申し出た。ただ、デザインの使用例に用いた画像については、サイトからの転用を認めたという。武藤氏は「佐野さんは普段通りだったが、その思いは印象的だった」と、その様子を振り返った。

問題になったエンブレムをデザインしたのは佐野氏だが、組織委が現在、権利を持っている。佐野氏から「原案者」としての申し出を受けて、組織委は夕方、舛添要一・東京都知事や森喜朗会長ら6人が参加する調整会議を開いて、正式に「使用中止」を決定した。デザインが選ばれたことによる賞金100万円は、佐野氏に支払わないという。

●「責任」は誰にあったのか?

佐野氏不在の会見で、武藤氏は「国民のみなさまに心配をおかけした」「東京大会を象徴する、愛される、支持されるエンブレムを新たに作りたい」と仕切り直しを強調した。だが一方で、今回の騒動に対する責任を追及される一幕もあった。

佐野氏のデザインを選んだ責任を問われると、武藤氏は「審査委員会に責任を押し付けるつもりはないが、審査委員会が厳正な選考をおこなった。審査委員会もロゴの内容が優れているか判断した。当然、(佐野氏を含む)応募者は独自のものを応募する責任を持っていた」と述べ、その所在をはっきりとさせなかった。

また、記者から「誰に責任があるのかあいまいだ」という指摘を受けても、武藤氏は「一カ所に責任がある問題だと理解していない。いろんなかたちで専門家など大勢の人が関わっている。組織のトップが責任を持つという議論もわかるが、できない・するべきでないと思う」と持論を展開させていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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