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青森県の百貨店「三春屋」、従業員の7割に「解雇通知」…法的に問題ないの?
2021年09月02日 09時50分

青森県八戸市の百貨店「三春屋」の運営会社が、全従業員約140人の約7割にあたる約100人に解雇通知を出したと報じられている。

読売新聞(8月24日)によると、新型コロナウイルスの感染拡大などで経営不振になり人件費削減が必要になったというが、希望退職者の募集もなく、従業員の労働組合からは反発が起きているという。

果たして今回のような解雇通知の出し方は、法的に問題ないのだろうか。山田長正弁護士に聞いた。

青森県八戸市の百貨店「三春屋」の運営会社が、全従業員約140人の約7割にあたる約100人に解雇通知を出したと報じられている。

読売新聞(8月24日)によると、新型コロナウイルスの感染拡大などで経営不振になり人件費削減が必要になったというが、希望退職者の募集もなく、従業員の労働組合からは反発が起きているという。

果たして今回のような解雇通知の出し方は、法的に問題ないのだろうか。山田長正弁護士に聞いた。

●解雇が無効となるリスクが高い

——希望退職も募らずいきなり解雇通知を出すというやり方は、法的に問題となるのでしょうか。

今回のような、会社が不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に、人員削減のために行う解雇を整理解雇といいます。

整理解雇前に、希望退職を募ることが望ましいことは事実ですが、法的に必須とまではいえません。

ただし、従業員に何も説明せずにいきなり解雇通知を出すことは、法的には問題となり、解雇が無効となるリスクが高いと認識すべきです。

——本来ならば、どのような手続きを取るべきなのでしょうか。

整理解雇は会社側の事情による解雇のため、下記(1)~(4)の要素を総合考慮して、解雇が有効かどうかの判断がなされます。

(1)人員削減の必要性(人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる会社経営上の十分な必要性に基づいていること)
(2)解雇回避の努力(経費削減、配置転換、希望退職の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと)
(3)人選の合理性(整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること)
(4)解雇手続の妥当性(労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法等について納得を得るために説明を行うこと)

●突然に整理解雇できるものではない

——報道によると、今回のケースでは(4)の解雇手続きについて批判が集まっているようです。

今回のケースでとるべき手続としては、(1)~(3)を満たしていることについて、きちんと会社が労働者や労働組合に解雇前に説明する必要があります。

報道だけをみれば、(4)を満たさない可能性が高そうですので、解雇が無効とされる可能性はありえます。ただし、(1)~(3)の内容にもよりますので、一概に解雇が無効とまでは断定できません。

いずれにしても、会社としては整理解雇を実施するにあたって、先ほど述べた4つの要素をふまえて、以下のような解雇手順を組み立てることが必要です。

<1>(1)~(3)を満たしているか、その内容・程度等を確認
<2>解雇基準の決定
<3>解雇対象者または労働組合への説明
<4>整理解雇実施の発表
<5>解雇予告通知・解雇予告手当の支払い
<6>解雇辞令の交付

経営状況が厳しく会社を維持するためであっても、突然に整理解雇できるものではなく、会社の対応によっては、労使間で対立が起きる可能性もあります。そのような対立を回避するためにも、4つの要素を満たすよう周到に準備し、上記のような手順にて進めることが大事です。

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