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警察の「誤認逮捕」で85日間も自由を奪われた男性 「捜査ミス」はなぜ起きたのか?
2014年03月13日 11時29分

警察の捜査ミスによって、3カ月間も自由を奪われた――。身に覚えのない容疑で大阪府警に誤認逮捕された男性が2月中旬、国家賠償を求めて、大阪地裁に提訴した。

男性は昨春、ガソリン窃盗の容疑で逮捕され、誤認逮捕が発覚するまで、85日間も身柄を拘束され続けた。この間、精神的苦痛と経済的損害を受けたとして、男性は国と大阪府に計約1180万円の賠償を請求したのだ。

警察の捜査能力の低下が懸念される昨今、無関係な容疑で逮捕されることは、決して他人事ではないだろう。今回のケースは、どこに問題があったのか。男性の弁護人をつとめ、今回の訴訟の代理人である赤堀順一郎弁護士に聞いた。

警察の捜査ミスによって、3カ月間も自由を奪われた――。身に覚えのない容疑で大阪府警に誤認逮捕された男性が2月中旬、国家賠償を求めて、大阪地裁に提訴した。

男性は昨春、ガソリン窃盗の容疑で逮捕され、誤認逮捕が発覚するまで、85日間も身柄を拘束され続けた。この間、精神的苦痛と経済的損害を受けたとして、男性は国と大阪府に計約1180万円の賠償を請求したのだ。

警察の捜査能力の低下が懸念される昨今、無関係な容疑で逮捕されることは、決して他人事ではないだろう。今回のケースは、どこに問題があったのか。男性の弁護人をつとめ、今回の訴訟の代理人である赤堀順一郎弁護士に聞いた。

●警察は基本的な捜査を怠った

――事件の概要を教えていただけますか。

赤堀:昨年の1月13日、大阪府堺市内のコインパーキングで車上荒らしが発生し、給油カードが盗まれ、続いて、ガソリンスタンドでカードを使ったガソリンの窃盗事件が起きました。そして、事件から3カ月たった4月になって、大阪府の会社員男性が大阪府警に逮捕され、6月にはガソリン窃盗の罪で起訴されました。

――その後の経過はどうだったのでしょう。

赤堀:ようやく7月になって、誤認逮捕・誤認起訴であることが判明し、男性は釈放されました。しかし、逮捕とそれに続く勾留によって身体拘束されていた期間は、計85日間にも及びました。

――なぜ、男性は誤って逮捕されてしまったのでしょうか。

赤堀:逮捕のきっかけは、ガソリンスタンドの防犯カメラの映像でした。盗まれた給油カードが使用された時間に、この男性がガソリン給油する姿が映っていたのです。しかし実際には、このカメラの時間設定は、正しい時間よりも8分進んでいました。

――つまり、警察や検察は防犯カメラの時間のズレを見過ごしてしまったということですね。

赤堀:警察が男性を誤認逮捕し、検察官も誤った起訴をした原因は、ガソリンスタンドの防犯カメラの時間の誤差と男性の給油後の行動を確認しなかったことです。これは決して難しいことではなく、最も基本的な捜査の一つです。なのに、それを怠ってしまったのです。

日々起こる事件について、このような基本的な捜査を怠れば、今回のように事件とは無関係な市民が冤罪の被害にあうことになります。実際に男性は、85日間の身体拘束で有形無形の大きな損害を被りました。

――今回の国家賠償を請求する訴訟には、どんな意味があるのでしょうか。

赤堀:誤った捜査と起訴により生じた損害を回復するため、また、ずさんな捜査の違法性を明らかにし、今後同じような冤罪が生み出されないために、男性は国と大阪府に国家賠償請求の訴えを起こしました。今回のようなずさんな捜査が繰り返されないように、という思いが込められているのです。

(弁護士ドットコムニュース)

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