この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
事故の責任が、どちらにどの程度あるかという過失割合は、刑事記録の実況見分調書などを分析して、主張をしますが、それは、当然、弁護士がする仕事です。ところが、当職が驚いたのは、過失割合そのものについて、業者に依頼をして、意見を述べてもらうということをした弁護士がいます。それは、車の速度がどのくらいかということが判らないので、業者に工学鑑定をしてもらうことを前提にした依頼であると思います。しかし、車の速度は、実況見分調書で、ある程度、想定できるのであり、費用をかけて、工学鑑定をする必要があるのか、疑問と言えます。
解決への流れ
当職が、受任する前の弁護士が、工学鑑定を依頼して、その費用に、金50万円かかったので、依頼者に、支払を求めていたケースがありました。その工学鑑定書では、いろいろな計算をした上で、時速60キロであるという結論を出していました。しかし、実況見分調書におけるスリップ痕を見れば、その車が時速60キロであることは、容易に、判る事案でした。こんな無駄な費用をかける必要はないということで、当職は、前の弁護士に、支払をさせませんでした。その弁護士からは、恨まれましたが、依頼者の立場からすれば、しかたがないと思います。
もちろん、工学鑑定をすべき事案もあります。しかし、上記のケースは、いずれも、工学鑑定の結果が出たとしても、過失割合について、違いはないというものでした。そのあたりの見通しもできない弁護士が、むやみに、金をかけて、工学鑑定をするのも、依頼者のためには、どうか?と思わざるを得ません。