この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご依頼人のお父様が公正証書遺言を遺して亡くなりました。ご依頼人も一部の財産を相続できる内容でしたが、遺産の大部分は別の相続人に相続させることになっており、ご依頼人は不満を持っていました。また、遺言執行者から示された遺産である預金の金額は、ご依頼人が認識している金額を大きく下回るものでした。したがって、ご依頼人は、遺産の大部分を相続した相続人に何か言えないかとご相談に来られました。
解決への流れ
私は、ご相談を受けてすぐに遺留分減殺請求ができないかを検討しました。そして、不動産の評価を調べたところ、固定資産税評価額や相続税評価額を前提とすれば、ご依頼人には請求できる遺留分はありませんでした。ところが、時価を調査したところ、その不動産の時価は固定資産税評価額や相続税評価額を大きく上回ることが分かりました。また、お父様の預金通帳の入出金履歴を調査したところ、お亡くなりになる数年前に高額の出金記録があることが分かりました。そこで、遺産の大部分を相続した相続人に対し、これらを指摘した内容証明郵便を送付したところ、私宛に連絡があり、約1か月後に依頼者の希望どおりの合意書を取り交わすことができました。
本件は、依頼者ができるだけ早期に解決をしてほしいと希望していました。もしかすると、裁判を起こせば、もっと大きな金額を取得することができたかもしれません。しかし、依頼者が早期解決を希望するのであれば、それに沿った解決を目指します。相手方に対して、送付する書面を作成するときも、当方の指摘できる主張を記載しつつ、相手方が、円満かつ早期に解決したいと思うような書面にするよう工夫します。もちろん、相手方のあることですから、どのような事案でも早期に解決できるわけではありませんが、本件は、ご依頼人の希望を叶えるべく、解決案を工夫した成果が出た事案だったと思います。