この事例の依頼主
80代以上 男性
依頼者の父が亡くなり、遺産分割協議を実施しようと思ったが、一部の相続人の所在が不明であり、また、遺産の全容を把握できていないので、一部の相続人の所在調査及び遺産調査をしたうえで、代理人として、他の相続人との遺産分割協議を依頼したいというご相談でした。相続人は、依頼者を含めた被相続人のご兄弟のみですが、相続発生以前に亡くなっているご兄弟もあり、その代襲相続人である甥と姪が2人いることまでは把握していましたが、住所などの所在が不明とのことでした。また、遺産についても、預貯金については把握されていましたが、その他に、被相続人は金融機関に貸金庫を借りており、その中に何が保管されているかはわからない、とのことでした。この事案の問題点は、一部の相続人が所在不明であることと、遺産の全容が不明であるため、遺産分割協議ができない、という状況であったことでした。
まず、所在不明の相続人である甥と姪の所在を明らかにするために、戸籍謄本・戸籍事項証明書や戸籍の附票等の書類を取り寄せ、相続人の所在調査を行いました。その結果、所在不明であった甥と姪の現住所が判明しました。そのうえで、被相続人が借りていた貸金庫については、依頼者と、所在が判明した相続人を含む他の相続人全員の署名・押印を得て、依頼者と一緒に当該金融機関に赴き、貸金庫を開披したところ、中から現金600万と預金通帳が発見されました。相続調査を実施することで、相続人全員の所在と遺産の全容を把握できましたので、判明した遺産の内容を前提に、私が遺産分割協議書案を作成して他の相続人全員に送付したところ、他の相続人全員の了解を得ることができたため、調停等の裁判所の手続を経ることなく、比較的早期に、遺産分割協議が成立しました。
依頼者を含めた全ての相続人のスタンスが、「法定相続分程度を確保できれば特に異存はない」というものであったため、相続調査から遺産分割協議まで、比較的スムーズに進めることができました。