この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
DVや不貞などといった法律で定められた離婚事由があるわけではありませんでしたが、長年蓄積した不満から夫から心は離れ、ずっと離婚を考えていました。しかし、子供が二人いたため、下の子供が中学を卒業するまでは、ということでずっと我慢してきました。この度、下の子供が高校に進学したことを機に離婚に踏み出したいが、夫はそのことを受け入れてくれない、養育費や財産分与の話も進まない、とのことでご相談に来られました。
解決への流れ
相談者様の離婚の意思は固いが夫は受け入れない様子だったので、このまま夫婦で話し合いを続けていても埒が明かないと判断しました。そこで、離婚に向けて手続を進めていくことにしました。そこで、まずは経済的基盤を確保した上で別居していただくことを提案しました。相手の配偶者にこちらが本気で離婚を考えていることを理解してもらうためと、万が一離婚に応じていただけない場合には一定の別居期間が必要となるからです。また、別居期間中は夫は婚姻費用を支払わなければならないので、夫にとっても離婚へのインセンティブが働きます。その上で調停を起こし、「このまま長引いても婚姻費用が積み重なるだけで、結果的に離婚となってしまう。それなら早めに離婚に踏み切った方がお互いのためだ」というように交渉していきました。一筋縄ではいきませんでしたが、粘り強く交渉を続けた結果、一定金額の養育費の支払い・財産分与を獲得した上で離婚を成立させることができました。
配偶者の片方だけが離婚したいという場合、お二人で話合いを続けていても前に進まないケースが多々あります。今回のように、明確な離婚事由がない場合は特にそうです。そのような場合でも、戦略的に手続を進めることによって、有利な条件で離婚をすることができます。