この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
きょうだいから裁判を起こされた方からの相談です。お母様はほとんどすべての遺産を相談者の方に遺したい旨の自筆証書遺言を書かれていました。ところが、他のきょうだいが遺言作成当時のお母様が重い認知症であったとして遺言無効確認訴訟を提起してきて、10年以上前に作成された別の遺言が有効であると主張してきました。
解決への流れ
お母様が生前常々相談者にすべての財産をあげたいと強い希望を述べておられたので、お母様の意思を反映された今回の遺言について遺言能力に欠けるところはなく有効であると主張しました。認知症の症状については遺言作成当時お母様に短期記憶障害が発症していたのは間違いありませんでしたが様々な観点から遺言能力に問題はないと主張しました。地裁、高裁と私たちの主張が受け入れられて遺言は有効と判断されました。
認知症だからといって直ちに遺言が無効となるわけではありません。遺言能力は様々な観点からケースバイケースで判断していくものですから一つの不利な事情で無効だと諦めてはいけないと思います。昨今、高齢者の自己決定権への配慮が広がっていますので過去の裁判例で遺言無効にされたものであっても有効と判断される可能性は広がっているのではないかと思います。