犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

押したら損をする。そのハンコ、ちょっと待った!【遺留分】【代襲相続人】

Lawyer Image
寺田 弘晃 弁護士が解決
所属事務所神楽坂総合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

ご相談者の祖父(被相続人)が亡くなり、その時点で父はすでに他界していたため、ご相談者は代襲相続人として、相続する立場にありました。もっとも、ご相談者の母は、既に離婚し、母の元で生活していたご相談者は父方の親族(被相続人も含め)と疎遠となっていたため、被相続人の遺言書には、遺産を妻と娘に相続させる旨(ご相談者には相続分なし)の記載がありました。しかしながら、自筆で書かれたこの遺言書はモレがあり、手続きが最後までできず、結局、妻と娘の代理人からは、相手が準備した遺産分割協議書に同意するよう通知書が送られてきました。通知書の内容は、遺言書自体は有効なので、ご相談者がもらえる財産はない、けど、遺産分割協議書のハンコ代として10万円を支払うというもので、果たしてこの金額が妥当かどうか知りたいとのことでご相談となりました。

解決への流れ

遺言により、遺産が他の相続人に渡されたとしても、遺留分という制度によって遺産を確保することが可能な場合があります。しかし、遺産分割協議書にハンコを押してしまうと、この遺留分はなくなってしまいます。相手方代理人は、このような説明をせず、ハンコを押してほしいと通知してきました(当初は、相続税の申告のために必要ということでハンコを押してほしいとのことでしたが、私が見る限り明らかに、相続税申告が不要な事案であり、この説明自体あやしいものでした)。そこで、私が受任し、遺留分を前提に相手方と交渉を行いました。この件では、不動産価値が重要となるため、当方が提携する不動産業者数社に査定書作成を依頼し、この数字を前提に相手方と交渉することにより最終的には、総額700万円を支払ってもらうことになりました。

Lawyer Image
寺田 弘晃 弁護士からのコメント

相続は親族間の問題なので、揉めたくないといった心理が働き、深く詮索することなくハンコを押してしまうということもあると思います。しかし、遺留分は法が相続人に最低限認めているものですから、主張すること自体責められるような性質のものではありません。また、相手方に弁護士がついていると、その提案が妥当・公正・真実と妄信してしまう危険性がありますが、相手方が正確な情報を伝えてくれているか、情報を全て伝えてくれているかどうかはわかりません。そのため、まずは自分も弁護士に相談してみるということは非常に大切です。また、不動産業者とのつながりのない弁護士の場合、このような査定書作成をせず、いわゆる路線価や固定資産評価額によって不動産価値を求めることがありますが、このような場合、価値が2~3割ほど低く評価されてしまうため、今回のご相談者にとってはマイナスとなります。各士業や業者との連携がある弊所の解決力が功を奏した事案だったと思います。