この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
依頼人は、平成8年5月に消費者金融U社から30万円を借り入れ、その後、借入と返済を繰り返し、最終的に、平成21年4月まで取引を行っていた。また、依頼人は、平成9年12月に、消費者金融D社からも50万円を借り入れ、その後、借入と返済を繰り返し、最終的に、平成21年4月まで取引を行っていた。いずれの借入についても、依頼人は、利息を含め、全額を完済している。しかし、高い利息を取られていたことから、依頼人は、「過払金を返還してもらえるのではないか」と考え、相談に来た事案。
本件に限らず、このような場合、弁護士は、一般的に次のような対応を行います。① 依頼人の取引相手である消費者金融に対し、弁護士が事件を受任したと通知すると同時に、依頼人の全取引履歴の開示を求めます。② 依頼人の取引履歴が開示された後、直ちに、これを利息制限法の利率(10万円未満 年20%、10万円以上100万円未満 年18%、100万円以上 年15%)で引き直し計算し、過払金が生じていることを明らかにします。③ 消費者金融に対し、過払金が発生している事実を通知し、その返還を求めます。消費者金融の担当者と交渉すると、通常の過払金の発生は認めるものの、和解については、「過払金の7割を、4、5ヶ月後に支払う」というような内容の和解案を提示されたりします。もちろん、交渉により、返還される額を増やしたり、支払期日を短期間にすることもできると思います。しかし、限度があるため、過払金をきちっと回収しようと思うならば、裁判を起こす方が得策です。但し、依頼人が早期解決を望む場合(依頼人が、経済的に苦しく、早期の返還を希望している場合)には、いくぶん妥協しても、早期に解決します。どのような道を選ぶかは、最終的には、依頼人に決断して頂きます。本件事件においては、約328万円の過払金が発生していました。また、この過払金について、遅延損害金(過払金発生時から現在に至るまでの年5%の損害金)を含めて計算すると、約435万円となりました。本件事件は、平成26年2月に訴訟を提起しました。相手方の消費者金融は、徹底的に争う姿勢を示し、「既に当事者間で和解が成立している」等の抗弁や、「支払が1回遅れた時点で、既に期限の利益を喪失し、遅延損害金29.2%の計算になる」などと主張しました。最終的に、裁判官の和解勧告により、平成26年9月に和解が成立し、同年10月31日限りで、相手方の消費者金融から、328万円を回収しました。
過払金については、裁判をすれば、より多くの回収が可能となることが、ほぼ明らかです。しかし、最近では、消費者金融も財政的に苦しく、徹底的に、訴訟の引き延ばし作戦や、あらゆる論点について争う姿勢を示します。訴訟を提起した場合、本件事件を例にしても、解決して金銭を回収するまでに、8ヶ月を要しました。したがって、依頼人の希望を尊重しながら、金額がいくぶん目減りしても早期解決を望むか、時間がかかっても出来る限り多くの回収を希望するのか、回収の見込み等も含め、十分にご説明させて頂いたうえで、判断してもらいます。なお、事件処理にあたっては、1件あたり、着手金として2万1600円(消費税込み)をお支払い頂きますが、その後、訴訟となった場合には、依頼人に金銭負担をして頂くことなく、過払金を回収した際に、実費の精算と報酬(回収額の2割)を支払って頂くことにしています。